マザコン

私にとって母は偉大だ。絶大だ。
高校生の時分は携帯電話で母に電話をかける姿が「上司に電話するサラリーマンみたい」と言われて複雑だった。だが実際母に頭が上がらないのは事実だ。私にとって母の存在は存在が定かではない神様なんぞとは比べ物にする必要がないぐらい大きい。

そりゃあ、言えないことは２つも３つもある。それでも言えることは言うし、尋ねるし、聞くし、求める。母がいたから自分はここまで来れた。それは紛れもない。だけどこのまま頼ってしまったら、母がいなくなった時私はどうなってしまうだろう。

母が言うことを鵜呑みになどしていない。母の言ったことを自分の考えと照らして、考察して、それで結果として母の言うことの方が正しいと思うからそうしているだけだ。そして圧倒的に母の考えは的を付いていた。それが人生経験の差かもしれない。だが私の中には母は正義なのだと無意識のうちに刻まれていた。私はその信仰を持って今まで生きてきたのだ。諸行無常、人は遅かれ早かれ死に逝く定め。私は母を亡くすのが恐ろしくて仕方ない。私が一人で物事を決断できるのか不安でしかたない。